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Friday, September 4, 2020

[CEDEC 2020] 「リングフィット アドベンチャー」のセッションをレポート。“混ぜると危険”なゲームとフィットネスを両立させた苦労と工夫 - 4Gamer.net

 ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2020」の最終日となる2020年9月4日,「リングフィット アドベンチャー」についてのセッション「『リングフィット アドベンチャー』〜混ぜるな危険! ゲームとフィットネスを両立させるゲームデザイン〜」が行われた。ゲームの成り立ちや進化の過程など,興味深い情報が語られたセッションの様子をお伝えしていこう。

 今さら紹介するまでもないだろうが,「リングフィット アドベンチャー」は,ゲームとフィットネスを融合させた“フィットネスアドベンチャー”。輪の形をした特殊コントローラ「リングコン」を用いた60種以上のフィットネスが楽しめる。2019年10月の発売直後から話題となり,現在も抽選販売が行われるなど,品薄状態が続く人気ぶりだ。

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 弓の要領でリングコンを引っ張って攻撃,リングコンを腹筋に押し当ててガード……といったように,さまざまなフィットネスでモンスター戦う「フィットバトル」をはじめとした前代未聞の要素尽くしの本作は,どのように開発されたのだろうか?

 開発初期はリングコンではなくNintendo Switch標準のJoy-Conでの遊びが想定されていたという。さらに,開発がある程度進んだ段階でプロデューサーが「ゲームとフィットネスを混ぜるという最初の考え方がそもそも間違っていた」と愕然とし,方針が大きく変わったというから,なかなか波乱含みだ。

 セッションでは,当のプロデューサーである河本浩一氏と,かつてゲーム機にフィットネスを取り込んだ「Wii Fit」を手がけた経験を持つディレクターの松永浩志氏が登壇した。

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 「リングフィット アドベンチャー」のアイデアを考案したのは河本氏。運動嫌いではあるものの,身体を動かす必要性を感じていた氏が,このジレンマをゲームでなんとかできないだろうか,と思ったことが発端だったという。自身の才能は「混ぜる」ことであると分析する氏は,ゲームとフィットネスを混ぜることを思いついた。

 ただ,そこには「Wii Fit」という前例があった。新要素を求めた河本氏は,RPGとフィットネスの相性が良いことに着目。「現実では運動してもなかなか成果が出ないが,RPGならレベルアップで強くなれる」ということからゲームの方向性を固め,かつて「Wii Fit」を手がけた松永氏をディレクターに招聘し,開発がスタートした。

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 ファンタジーRPGの操作を運動に置き換え,「フィールド移動は足踏みでジョギング」「敵とのバトルは両腕でパンチ」という大枠が決定。Joy-Conを両手に握り込んで遊ぶ,最初期のバージョンが作られた。
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最初期のバージョン。2つのJoy-Conをそれぞれの手で握り,ジョギングとパンチで遊ぶ
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 しかしながら,ジョギングとパンチだけでは単調だということで,スクワットや腹筋といったフィットネス種目の導入を検討することになった。とはいえJoy-Con両手持ちのスタイルでは,検知できる運動にも限界がある。

 そこで,バンドを使ってJoy-Conを左腕と左太ももに固定することにより,さまざまな運動を検知できるようにした。そして,フィールド移動中にも,パンチで岩を砕く,両手で崖を登る,立木のポーズで木に化けて敵をやり過ごす,タイミング良く走って岩を避ける,スクワットで木の実を投げて的に当てるといったミニゲームを用意。バトルにもお手本通りにタイミング良く動くリズムゲーム的な要素や,しゃがんでの攻撃回避,そして足を前後に素早く動かしての「ラッシュ攻撃」を導入するなど,ゲームの種類を増やしていった。

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ゲームの流れ。ジョギングし,パンチで戦う
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 この時点ですでにあった「ジョギングによる移動」「足へのJoy-Con固定」「立木のポーズでの欺瞞」「タイミング良く走っての障害物回避」「ラッシュ攻撃」といった要素は,製品版へと引き継がれている。
 その一方,ガケ登りや,バトル中にしゃがんでの攻撃回避,リズムゲーム的要素が削られるなど,アイデアの取捨選択が行われているのは興味深い。
 リズムゲームは発売後のアップデートで実装されたが,本編のバトルには取り入れられておらず,あくまで独立したミニゲームだったことは注目すべきポイントだろう。
片方のJoy-Conをベルトで足に固定。両手を使ったガケ登りなど,さまざまな新アクションが登場した
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腹筋(左)やスクワット(右)の運動も認識できるように
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お手本のリズムを見て覚え,その通りに攻撃するリズムゲーム的要素(左)。製品版にも存在する,立木のポーズで敵をやり過ごす要素(右)
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 ここまで来ると,素人目線ではフィットネスゲームとして完成しているようにも思えるが,松永氏はそう感じていなかった。「Wii Fit」の「バランスWiiボード」のような分かりやすいインパクトがなく,フィットネスを謳いつつも身体には大きな負荷がかかっておらず,面白さもこれまでの体感ゲームを超えられていない……というのがその理由だ。
 こうした課題を解決できずに苦しむ松永氏のもとに,ハード開発チームから,押し込むと曲がる輪っか状の新コントローラがもたらされた。ここでやっと本作を象徴するリングコンの登場というわけだ。
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 リングコンにJoy-Conを組み合わせることで,押し引きで上半身に負荷を掛けられるだけでなく,プレイヤーの姿勢も判定できるようになった。そして,曲がる輪っかはインパクト抜群。松永氏を悩ませていた諸問題が一気に解決したのである。この頃にはアートディレクターも合流し,リングを携えて冒険する燃える髪の主人公が誕生している。

 リングコンを押し引きする動作が一気に可能性を広げ,さらに多彩なフィットネスが実現可能になり,空気砲の発射や吸い込み,カヌーの漕艇,押し込みでの石砕きといった製品版にも見られるフィーチャーも考案された。そして,キツい運動をしたい人のために「道場」が用意され,フィットネスとしての強度も確保された。

リングコンがついに登場。ゲーム画面はほとんど製品版に近い(左)。カヌーなど,リングコンを使ったミニゲームも追加(右)
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スクワットで敵に攻撃。製品版では1回足を曲げる度に敵へダメージを与えられるが,この時点では何回かスクワットし,パワーを溜めて攻撃する方式だったという
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リングコンでフィットネスの数は一気に増えた
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リングコンでフィールドの運動はより多彩に。キツい運動をしたい人用の「道場」も登場
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 河本氏の「スクワットは効率よく運動できるので,これを取り入れてほしい」というオファー通り,ゲームにスクワットの要素が実装された。例えばバトルでは,スクワットを繰り返してパワーを溜めると攻撃するという具合だ(講演では開発中バージョンの動画も公開されたが,この時点ではプレイヤーと敵が同時に行動しているように見える)。
 インパクトが出たのに加え,上半身に負荷がかけられるようになり,運動のバリエーションも増えた……とリングコン導入の効果は劇的だったという。

 しかし,河本氏にプレイしてもらったところ「何か違う。面白いゲームを遊んだとは思うけれど,フィットネスしたとは思えない」という感想が飛び出した。つまり,ゲームとフィットネスが両立していないと感じられたわけだ。

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 その理由は,ゲームとフィットネスの相性の悪さ,そしてキツい運動が道場として独立していることにあった。
 フィールド上の運動は,フィットネスとしては負荷が軽すぎた。河本氏の注文通りスクワットは入ったものの,少ない回数でクリアとなってしまう。かといって運動の負荷を上げればいいわけではない。キツい運動をしていると,ゲームをする余裕がなくなってしまうのだ。ゲームとしての面白さを追求するなら,“ゲームと混ぜられる一部の軽い運動”を少ない回数だけやってもらうのがいいのである。

 そして,キツい運動は苦痛で退屈なので,わざわざ道場へ行ってまでやりたくない。ゲームをやる前と同様にキツい運動から逃げてしまっているわけで,これではゲームをやる意味がない。河本氏が初期に掲げた「運動不足をゲームで何とかしたい」というコンセプトの実現にはほど遠い状態であることが明らかとなった。

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 開発チームの外からも「これでは運動にならない」という指摘があり,河本氏は「ゲームとフィットネスを混ぜるという最初の考え方がそもそも間違っていた」という結論にたどり着いてしまった。プロデュースのミスである,とまで語ったのだから,その時の心境は察するに余りある。
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 しかし河本氏は,このまま発売に踏み切ったり,お蔵入りさせたりはしなかった。

 ゲーム的な面白さに寄せても,ほかのゲームがあるので意味がない。フィットネスだけを追及しても,フィットネス動画があるのでやはり意味がない。「ゲームとフィットネス,どちらの要素も捨てずに両立させないと,このソフトに存在意義はない」と河本氏は考え,方針を変更したのだ。

 「これでは運動にならない」という指摘があったのは「フィットネスのためのコントローラを使うならキツい運動をしたい」というニーズがあったからだ。しかし,キツい運動とゲームは両立できない。そこで,「キツい運動を入れ,やりたくなるように面白くし,ゲームとは混ぜない」という方針が決まった。

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 セッション中に明言はされなかったのだが,前述した開発途中のバトルの動画と合わせて考えると,河本氏がここで「混ぜない」としたのは,アクションゲーム的,あるいはリアルタイムバトル的な要素だと思われる。キツイ運動を必死でやっている最中に何度も攻撃される……といったことが起こらないようにしようというわけだ。

 この新しい方針により,道場に分離されていたキツい運動が,バトルの攻撃に変わった。これはRPGで攻撃コマンドを入力した後,何も操作しなくていいことにヒントを得ている。運動をコマンド入力にしたわけだ。

 これによって運動に集中できる環境が成立したうえ,前段階で作られたさまざまな運動も転用できる。そして,道場自体もマップ上に配置し,コースでの運動強度も上げている。いろいろなところにキツい運動を配置したわけだ。なお,変更を少なくするため,防御は軽い運動のままにしているという(方針を変えるまでは,製品版での防御くらいの運動強度でゲームが進んでいたともいえるわけで,確かにそれでは物足りなくなるのも分かる)。

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 次に,ゲームの演出によって,プレイヤーの気持ちを「キツい運動はしたくない」から「キツい運動をしてもいい」方向へ誘導している。世界観を変更し,プレイヤーのモチベーションをアップさせる演出を沢山導入したのだ。
 世界観の変更,といってもファンタジー世界を冒険するRPG部分を作り替えたわけではない。この変更について,河本氏は「(ファンタジーのRPG部分を)現実世界のフィットネスジムの絵で包む」と表現した。
 タイトル画面を現実世界のスポーツジムとし,RPG部分は“「アドベンチャー」というフィットネス・プログラム”として位置づけ,さらにインストラクター(ミブリさん)を登場させることにより,フィットネスツール感を演出したのだ。
当初は徹頭徹尾ファンタジー的世界観だった
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現実世界のジムを提示し,RPG部分はジムでのフィットネス・プログラムと位置づけ
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 そして,さまざまな演出でプレイヤーのモチベーションをアップさせている。ここではスクワットが例に挙げられた。
 普通のゲームは小さな力でボタンを押すだけで気持ちいい反応があるが,そうした中でキツいスクワットをしてもらうためには,“止める言い訳”を考えられない位の反応を返し,単にスクワットを1回するだけで面白くしなければならないのである。そのために追加された演出はなんと12項目。
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 「膝を曲げると頭が豪快に燃える」「負荷が掛かっている太ももも燃える」「膝を曲げている間のSEを“何千回聞いても飽きない”音にする」「Joy-Conを限界まで強く震動させる」「膝を曲げると,巨大な足のビジョン(攻撃ビーム)が育っていく」「曲げている間,運動時間やカロリーが上がっていく」「筋肉の名前を表示する」「1回スクワットするだけで敵にダメージを与えるように」「スクワットする度に,リングコンの擬人化“リングくん”が20種以上ものパターンから応援してくれる」「後半はペースを上げて飽きを防ぐ」「画面上のアバターに汗をかかせる」「膝を深く曲げると,与えるダメージが大きくなり,各種演出も派手になる」……といった演出により,スクワットする面白さとモチベーションがアップした。
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 同作を遊んでいて印象深いのが,ゲームで求められる運動の回数やキツさを決める「運動負荷」の数値である。当初は言葉の意味も説明されないうちに決めさせられていたが,これではなかなか丁度良い数値にはならない。そこで,運動強度の段階を増やした上で,初回プレイ時はアンケートで決め,その後は前回のプレイを評価してもらうことで,徐々に丁度良いところへ近づけるようにした。そして,プレイヤーが無茶な変更をしてモチベーションが損なわれることがないよう,運動強度を直接操作する機能はメニューの深いところへ隠したというから,実に細やかな配慮だ(ちなみに,河本氏のご子息はいきなり運動負荷を最高値にして挫折したという)。
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 このようにさまざまな変更が加えられる中で,開発チームの全員が実際にゲームをプレイして検証を行い,改善点を洗い出していったという。プレイといっても,本作のそれは運動だ。皆がプレイすることで床が揺れたのを地震と間違われたり,男女1つずつしかないシャワー室に列ができることもあったという。
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 こうして,我々が知る「リングフィット アドベンチャー」が完成し,冒頭で触れたように,未だ品不足が続くほどのブームとなっている。
 筆者も,面白くプレイしている。運動の苦しさが敵へのダメージにつながるので,キツい種目も選ぶことができるし,攻撃力は高いが身体への負担も大きいフィットスキルを敢えて使うという,バトルマンガの主人公的な気分を味わえている。どちらもほかのゲームにはなかった体験であり,キツい運動を積極的にやれるような取り組みが効を奏しているといえるだろう。

 本講演を聴講していて印象的だったのが,開発のいくつかの段階において「もう完成しているのではないか?」と感じられるクオリティがあったにもかかわらず,“ゲームとフィットネスの両立”という目標を目指して苦労を重ねたことだ。特に開発後半の方針変更は河本氏いわく「以前なら,ちゃぶ台返しと呼ばれていたかもしれない」ほどの規模だったというから,スタッフの苦労も相当なものだったのではないだろうか。

 文字通り,開発者たちの汗が染みこんだ「リングフィット アドベンチャー」。楽しく運動してみたい人は,ぜひ手に取ってみてほしい。

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September 05, 2020 at 11:57AM
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