「全米オープン」に世界最高峰の選手たちがカリフォルニアのトーリーパインズに集結するなか、ブライソン・デシャンボーがタイトル防衛に臨むことになる。同大会について知っておくべき5つの重要事項は次の通り。
欧州からの遠征組
「ベットフレッドブリティッシュマスターズ」から始まり、「メイド・イン・ヒンメルランド」を経て「ポルシェヨーロピアンオープン」で終幕したヨーロピアンツアーのミニポイントレースは、トーリーパインズで開催されるメジャーに向け、目を見張るストーリーを展開した。
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その主役の一人となったマーカス・アーミテージは、「ポルシェヨーロピアンオープン」で劇的な勝利を挙げ、ポイントレース終盤にランキングを駆け上がったことで「全米オープン」行きのチケットを手に入れ、米国開催のメジャー初出場を果たす。
ドイツで勝利した際、こみ上げて来る感情を隠すことなく、亡き母に勝利を捧げたこのイングランド人選手は、鋭いユーモアセンスと陽気な性格により、ツアーの人気者として知られているが、今週カリフォルニアでは自身のゴルフで語ることを望んでいる。
この3大会で構成された予選会で起こったもう一つのストーリーは、リチャード・ブランドによるヨーロピアンツアー出場498大会目となった「ベットフレッドブリティッシュマスターズ」でのツアー初優勝だった。彼の勝利は、夢を諦めかけている人々への手本として、スポーツ界に大きなうねりを起こした。ブランドにとって、「全米オープン」は2008年の初出場以来2度目の出場となり、今週は何も失う物はなく、得るものしかないという心持ちで臨むことになる。
一方、エドアルド・モリナリは10年振りに「全米オープン」の舞台に戻ることになった。かつての「全米アマチュア選手権」王者として、彼が特別な歓待を受けることは間違いないだろう。モリナリはかつての「全英オープン」王者である彼の弟と兄弟そろって大会出場を果たすこととなり、彼ら以外では、カルロスとアルバロのオルティス兄弟が今週のフィールドに名を連ねている。
歴史に名を残すポーランド人選手
ヨーロピアンツアーのミニポイントレースから今年の「全米オープン」出場に漕ぎ着けた一人であるアドリアン・メロンクは、今週、歴史を作ることになる。この長身のポーランド人選手は、男子ゴルフメジャー大会に史上初めて出場するポーランド人として、歴史にその名を残すことになるのである。
近年、この28歳はポーランドゴルフ界の道を切り開いており、同国出身選手として初めてチャレンジツアーで優勝を果たすと共に、ヨーロピアンツアーのシード権を手にした。メロンクはこのところ、ヨーロピアンツアーでの時間をエンジョイしており、「ベットフレッドブリティッシュマスターズ」と「テネリフェオープン」で3位に入った。ハンブルグ生まれで東テネシー州立大学出身のメロンクは結果に関係なく、今週は世界のゴルフに爪痕を残すことになる。
ブライソンとブルックス
最近はこの2人の米国人スーパースターについて多くが語られている。彼らがともにメジャー初優勝を果たした大会を前にして、話の焦点を彼らのゴルフの技量に戻さないのは怠慢と言うべきだろう。ブルックス・ケプカによる近年の「全米オープン」における成績は瞠目すべきである。メジャー4勝のケプカは、けがにより2020年大会は欠場したが、その前の3年の「全米オープン」における彼の成績は、優勝、優勝、2位となっている。
意気軒昂の31歳は、「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」での優勝、そして「WGCワークデイ選手権」と「全米プロゴルフ選手権」での2位を経て今週の大会に臨むだけに、このメジャーのスペシャリストを今週の優勝候補から外すわけにはいかない。
しかしながら、ディフェンディングチャンピオンとして大会に臨む栄誉は、デシャンボーが手にしている。昨年9月にウィングドフットで彼が6打差で圧巻の勝利を遂げた際、ゴルフ界が騒然となったのは記憶に新しく、飛ばし屋の世界5位もまた、今季は「アーノルド・パーマー招待」を制覇しており、勝利を手に今週の大会に臨むこととなる。
トーリーパインズで、メディアが彼らについて大々的に取り上げることに疑問の余地はないわけだが、コース外の出来事とは関係なく、彼らには注目の的となるべき正当な理由があるのである。
いつも変わらず上品なサンディエゴ
トーリーパインズで「全米オープン」が開催されるのは今回が2回目であり、日曜の勝者は、史上最高の選手の一人にして、このサンディエゴのコースで開催された2008年大会の覇者であるタイガー・ウッズに自らの名を並べることになる。
この断崖の絶景に佇むコースは、サンディエゴ市が所有するパブリックゴルフコースで、誰でもプレーすることができる。コースの場所は、2014年「ライダーカップ」キャプテンのポール・マッギンリーが大学ゴルフをプレーしたカリフォルニア大学に程近く、直近のメジャー王者であるフィル・ミケルソンが通った高校からも近い。
コース名は、サンディエゴ海岸線の同義語とも言えるトーリーパインの木にちなんでおり、第二次世界大戦中に米国陸軍が使用した基地の跡地に造成された同コースは、1957年に開場した。1960年代以降、トーリーパインズは米PGAツアーのレギュラー大会である「ファーマーズインシュランスオープン」の開催コースとして使用されてきた。1月に開催された2021年大会では、ヨーロピアンツアーのメンバーであるパトリック・リードが5打差で優勝を遂げているが、これまで歴史ある同大会を制覇した欧州勢はジャスティン・ローズ(2019年)、ジョン・ラーム(2017年)、そしてホセ・マリア・オラサバル(2002年)のみとなっている。
フィルの地元凱旋
先の「全米プロゴルフ選手権」でメジャー通算6勝目を挙げたフィル・ミケルソンが、近代ゴルフにおける最高のストーリーを紡いだのは周知の通り。キアワアイランドでの比類ない大胆不敵なパフォーマンスでメジャー最年長優勝を成し遂げた51歳は、今週の地元凱旋で間違いなく熱狂的な歓迎を受けることになる。
その興奮に加え、“レフティ”と呼ばれるこの男は、もし今週優勝することができれば、生涯グランドスラムを達成し、栄えあるゴルフのレジェンドとして、ジーン・サラゼン、ゲーリー・プレーヤー、ベン・ホーガン、ジャック・ニクラス、そしてタイガー・ウッズの仲間入りを果たすのである。
これまでこの大会で多くのニアミスを経験してきたミケルソンにとって、今回は恐らく最後のチャンスになるだろう。観衆が彼に味方するなか、今週も我々はゴルフ史に残るシーンを目撃することになるのだろうか?
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