阪神大山悠輔内野手(26)が、マー君攻略の口火を切った。4回2死まで打線は楽天田中将に完璧に抑えられたが、マルテが四球で出塁。大山は初対戦の日米179勝右腕の145キロ直球を捉え、右翼席に先制8号を運んだ。チーム初安打が会心の決勝弾になった。

「マルテがああやって出塁してくれたので。後ろにはテル、サンズと長打のあるバッターがそろっている。後ろにつなぐという気持ちでスイングした結果がいいスイングになりました」

ビジターチームが一塁側に陣取る楽天の本拠地。黄色いメガホンで埋まった“ライトスタンド”が、主将の先制弾を待ち構えた。

前打者マルテのカウント2-2からの7球目、外角低めに決まったかに見えた148キロ速球。投げた田中将はベンチに帰りかけた。だが判定はボール。複雑な表情で田中将は仕切り直したが、8球目は大きく外れて四球に。阪神のチャンスが、ポチっと芽吹いた。少ない好機を逃さなかった。 「自分で流れを止めている、というのもあったので、そういった借りというのを返せてよかったです」

背中の張りによる出場選手登録抹消をへて、5月25日のロッテ戦で1軍復帰したが、11日までの交流戦成績は2割2分6厘(62打数14安打)。4日ソフトバンク戦以来の1発だった。佐藤輝との“OSアベック弾”は3度目だが、4、5番の中軸コンビでは初めてだ。

矢野監督は「ちょっとまだね。もっともっと良くなると思うんで。ノッていくものにしてもらいたい」とさらなる量産を願う。大山は「調子が悪い、いいとかじゃなく、そのときの仕事をしないといけない」と引き締めた。好調であろうがなかろうが、責任を果たす。思いのこもった田中将攻略弾だった。【堀まどか】

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