福島市出身で埼玉県に住む小亀秀子(しゅうこ)さん(42)は12日、夫の善隆さん(42)と同市飯坂町の介護老人福祉施設「県飯坂ホーム」を訪れ、入居する両親にウエディングドレス姿を披露した。新型コロナウイルスの感染拡大で諦めかけていた結婚式だったが、「花嫁姿を見てほしい」という秀子さんの熱意に周囲が応えた。「諦めなくて良かった」。両親を前に秀子さんの目から大粒の涙があふれた。
コロナ禍で結婚式を断念するカップルが増えている。小亀さん夫妻も昨年6月に結婚式を挙げる予定だったが、感染拡大を恐れて見送っていた。「やらないと後悔するようになるよ」。悩んでいた秀子さんの背中を押したのは、善隆さんの言葉だった。
だが全国的に介護施設での感染例も多く、同ホームに入居する両親の出席は見送らざるを得なかった。それでも「今できる範囲のことをやりたい」と秀子さんの思いは強かった。関係者と相談し、感染対策を徹底した上で同ホームを訪れ、福島市で結婚式を挙げることが決まった。期せずしてこの日は、秀子さんの誕生日とも重なった。
感染防止のため同ホーム内での対面はガラス越しだった。父本間藤三郎さん(79)と母ミチさん(77)に向かって大きく手を振る秀子さんと善隆さん。藤三郎さんは秀子さんのドレス姿を確認すると、車いすに乗るミチさんの手を取りながら「ほら、ほら」と何度も声を出し、小さく手を振り返した。
「みんな来てくれたよ」「ご飯ちゃんと食べてる?」。ガラス越しの対面を終え、玄関でミチさんが好きだというユリの花束を手渡した秀子さんは、涙が止まらなかった。コロナ禍で面会もできず、久しぶりの対面。秀子さんが涙ながらにミチさんの手を握ると、周囲で見守っていた親族のフェースシールドも涙で曇った。
結婚式は福島市のクーラクーリアンテサンパレスで行われた。式の様子はテレビ会議システムで同ホームに配信され、藤三郎さんらが見守った。「結婚式を挙げていいかどうか、本当に悩んだ。でも、この状況でやれる範囲のことができて良かったです」。秀子さんは笑顔で涙を拭った。娘の晴れ姿を見た藤三郎さんは、パーキンソン病を患うミチさんに寄り添いながら、ゆっくりとうなずいた。「いつの間にか大きくなったな。とても、きれいだった」
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