ついに大関の座に――。大相撲初場所(両国国技館)千秋楽の23日、長野県上松町出身で東関脇の御嶽海関(29)(本名・大道久司)は結びの一番で横綱・照ノ富士関を破って13勝2敗とし、3度目の賜杯を手にした。県出身力士では江戸時代に活躍した東御市出身の
新横綱からの3連覇を狙った照ノ富士関に、立ち合いで低く当たって左からおっつけた御嶽海関。一度離れたが、左右を差すと体を寄せて腰を落として寄り切った。過去4勝12敗で、先場所まで7連敗の横綱を大一番で撃破。2019年秋場所以来の優勝をたぐり寄せた。
今場所は力強い出足に加え、攻められても下半身が安定しているなど好調だった。初優勝した18年名古屋場所以来となる初日から無傷で勝ち越しを決め、10日目に北勝富士関に敗れて連勝は止まったが、11日目には大関の正代関を撃破。集中力も高く、最後まで崩れることはなかった。
大関昇進は「三役で直近3場所33勝」が目安とされる。御嶽海関は昨年の秋場所で9勝、九州場所で11勝を挙げた。今場所の目標を2桁勝利としていたが、白星を積み上げ、千秋楽で33勝に到達した。
上松町公民館でテレビ観戦した父大道春男さん(73)は、優勝が決まった瞬間も身動きせず、喜びをかみしめているようだった。「本当に皆さんの応援のお陰で期待通りに優勝できてうれしい」と地元やファンへの感謝を口にした。
国技館の升席で応援した母のマルガリータさん(51)は「感謝の気持ちでいっぱい。すごく頑張ってくれた」と息子の奮闘をたたえ、「大関になると大変だと思うけれど、これからも応援してほしい」と願っていた。
御嶽海関は木曽町内の少年相撲クラブに通い、福島中学校(現木曽町中学校)の相撲部で技を磨いた。
「こんなにうれしいことはない。言葉にならない」。福島中相撲部の顧問として御嶽海関を指導した県相撲連盟理事長の安藤均さん(63)は手放しで喜び、「さらに厳しい世界になるだろうが、みんなが元気になり、感動や喜びを与えられる相撲を取り続けてほしい」と期待を込めた。
福島中の後輩で、JA松本ハイランド相撲部の百瀬潤仁さん(28)は「四股やすり足などを黙々と行っている姿が印象に残っている」とし、「『木曽の星』として子どもたちの目標であり続けてほしい」と語った。
上松町のスポーツクラブ「木曽ひのきっ子ゆうゆうクラブ」事務局長の辺見元孝さん(62)はこれまで公民館でパブリックビューイングを開き、応援してきた。「郷土を忘れず、相撲界を代表する力士になってほしい」と話した。
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