濃縮缶の飲料は、水と混ぜれば出来上がる利便性の高さから注目されている。サントリー食品インターナショナルは、昨年発売した水と混ぜるだけで2Lの麦茶が作れる「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」180g缶に続き、新ラインナップとして、「伊右衛門 炙り茶葉仕立て濃縮タイプ」185g缶、「サントリー 烏龍茶 濃縮タイプ」185g缶、「DAKARAミネラル 濃縮タイプ」195g缶を4月7日から全国で発売する(各125円税別)。
「ペットボトル入りの麦茶は保管スペースを取り、持ち運びも大変」や「煮出しや水出しの麦茶は作るまでに時間や手間がかかる」という悩みを解決するために開発した「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」180g缶は、2019年4月の発売以降、新たな飲み方を提案し、ユーザーが広がっているという。
水と混ぜるだけで2Lの麦茶が作れる「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」
そこで今春から濃縮缶を、緑茶、烏龍茶、スポーツドリンクへラインナップ拡張することで、より多くのシーンで生活者の課題を解決し、便利な生活を提案することに決めた。サントリー食品は、「今回発売する濃縮缶シリーズとともに、コーヒーの濃縮タイプ飲料(ボス ラテベース)も含め、“イエナカ(家庭内)”における、より便利で豊かな生活を提案します」とする。
そして、緑茶のトップブランドの伊藤園も、濃縮缶のカテゴリーに茶系飲料で参入する。これは、希釈するだけで1~2Lのお茶をつくることができる希釈用茶系飲料「お~いお茶 緑茶」、「健康ミネラルむぎ茶」、「Relaxジャスミンティー」、「ウーロン茶」(各180g/115円税別)の4種類で、3月2日から新発売する。すぐに、簡単に、同じ味わいで、大容量のお茶がつくれることを伝えていく考えだ。
伊藤園の濃縮缶新商品(お~いお茶 緑茶、健康ミネラルむぎ茶、Relaxジャスミンティー、ウーロン茶)
伊藤園によれば、茶系飲料市場は2015年に比べて約10%伸長するなど、拡大傾向にあるが、共働き世帯の増加などに伴い、お茶の煮出しの手間や水出しに時間を要することへの悩みが寄せられていたという。また、大容量のペットボトルを購入する際には、その重量や大きさにより、持ち運びやストック(場所など)が課題になっていた。
そこで同社は、“手軽に”“簡単に”“すぐに”1~2L容量のお茶を、いつでも同じ味わいでつくることができ、持ち運びと省スペースにも優れた希釈用茶系飲料を発売する。また、それぞれ希釈に適した茶葉のブレンドや専用原料を使用し、希釈しても香り高い味わいに仕上げているため、水だけでなく牛乳で割ってラテとして楽しむこともできる。伊藤園は、「多様化するニーズやライフスタイルに合わせ、様々な形で“お茶”を提案することで、お茶の新しい価値を創造します」としている。
一方、長期保存できる水は、防災対策の一環として役立ててもらおうという提案だ。これまで大容量サイズなどでは展開されていたが、大手ブランドが500mlサイズで取り組むのは初めて。防災バッグの準備の際に、“災害時も普段から慣れ親しんでいるブランドのものを選びたい”という生活者の声に応えていく。
アサヒ飲料は、「『アサヒ おいしい水』天然水 長期保存水(防災備蓄用)」(500mlPET/140円税別)を3月3日から全国発売する。従来品のボトルよりも厚みのある容器を採用することで、製造から6年間の保存が可能になった防災備蓄用の長期保存水となっている。
「『アサヒ おいしい水』天然水 長期保存水(防災備蓄用)」
中味は市販されているナチュラルミネラルウォーター「アサヒ おいしい水」天然水 富士山を使用し、パッケージは、一目で備蓄水とわかるように上部に赤い帯の上に白字で「長期保存水」と記載し、防災備蓄用のマークを付けた。カートンの側面には災害時に役立つ「災害用伝言ダイヤル」と「災害時の豆知識」を記載。また、賞味期限を大きく表記し、買い換え時がすぐにわかるようにしたことも特徴だ。
アサヒ飲料は、「近年、増加している地震や集中豪雨などの災害の発生により防災の意識が高まっています。生活に欠かすことのできない飲料水を扱うメーカーとして、地方自治体との協力なども検討しながら、災害時の備えにお役立ちできる商品を提供することで、社会課題の解決に貢献していきたい」とする。
ミネラルウォーターの国内トップのサントリー食品も、「サントリー 南アルプスの天然水 備蓄用」500mlPET(140円税別)を2月18日から全国で発売した。同社の備蓄用の水は、2Lサイズですでに展開しているが、持ち運びに便利な500mlサイズは初めて。ペットボトルの改良により、5年間の保存を可能にしたという。
「サントリー 南アルプスの天然水 備蓄用」
特徴は、賞味期限をラベルにわかりやすく記載しているほか、備蓄用ボトルマーク採用で備蓄用商品である点を訴求したこと。そして、災害発生時に備えて、家族の緊急連絡先や必要な情報を記入できる「防災メモ」欄をラベル側面に用意した。
サントリー食品は、「近年、深刻な被害をもたらす自然災害が相次ぎ発生しており、備蓄用として飲料水を用意するニーズが増えています。中でも、災害時の持ち運びや利便性から小容量の飲料水に対するニーズが増加傾向にあります。“サントリー天然水”から、持ち運びにも便利な小容量の備蓄用商品を発売し、災害時の備蓄の重要性を改めて訴求することで、お客様に防災意識を高めていただくきっかけを作っていきます」としている。
清涼飲料の新商品は、新しい味や香り、素材の提案を行うことで、おいしさや楽しさ、健康的な価値を提供しようというものがほとんどだ。だが、ここにきて社会や生活者の課題の解決に取り組む“お役立ち飲料”が増えてきている。これは、商品そのものの売り上げを伸ばす目的にとどまらず、ブランドや企業の新たなファンを増やす機会につながるため、生活者が“役に立つ”と感じる商品やサービスは、今後さらに増えそうだ。
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February 19, 2020 at 11:12AM
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“お役立ち飲料”が増加、濃縮缶や長期保存水の発売相次ぐ - 食品産業新聞社
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