阪神が矢野燿大監督(52)に来季の続投を要請する方針を固めていることが14日、分かった。3位、2位と順位を上げて迎えた3年契約最終年は、13年ぶりの首位で前半戦をターン。この日、DeNA戦(甲子園)を視察した藤原崇起オーナー兼球団社長(69)が手腕への高い評価を明かした。試合はあと1点届かず、3位ヤクルトにも2・5差に迫られたが、矢野監督は首位折り返しに「胸を張っていい」とナインをたたえ、約1カ月間の五輪ブレークを経て再進撃を期した。
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甲子園からため息が漏れた。9回2死二塁、近本が遊飛に倒れてゲームセット。終盤1点差まで追い上げたが、2カード連続負け越しで前半戦連敗締めとなった。矢野監督は「やっぱり勝って終わりたかった」と悔しがったが、「みんな何とかしようと、そういう気持ちでやってくれた」とナインをねぎらった。その上で「首位で折り返せるのは胸を張っていいと思うし、チームの成長を感じています」と手応えを明かした。
そんな矢野監督に、球団は来季も指揮を託す方針を固めていることが判明した。1年目の19年が3位、2年目の20年は2位と順位を上げ、3年契約の最終年は1位を行く。交流戦明けは9勝14敗1分けと苦戦したが、首位で前半戦を終えるのは08年以来13年ぶりだ。
今季は開幕ダッシュを決めて首位を独走し、貯金は最多の21まで増やした。外国人8人体制でマルテやサンズ、ガンケルらが活躍し、矢野監督が4球団競合の末に引き当てた佐藤輝や中野、伊藤将ら新人も奮闘。侍ジャパンに選出された青柳をはじめ、秋山、西勇ら先発陣が踏ん張り、最後は守護神スアレスが締めるパターンをつくって白星を量産した。外国人にも浸透する積極的な走塁、全員野球など、矢野監督が掲げる野球が花開いた前半だった。
この日、甲子園でDeNA戦を視察した藤原オーナーはその手腕を評価した。「矢野監督の思いが浸透してきて、1位でターンするというところでは、本当に矢野さんに頑張っていただいている。私自身は満足しています」。続投要請については「時期が来ればじっくり」と話すにとどめたが、総帥の信頼は厚そうだ。
もちろん勝負は後半戦。強い口調で逃げ切りVを厳命した。「巨人を打ち負かしてというのをね。後半戦でぜひとも(7勝8敗の)勝率をひっくり返す。対巨人戦、勝ち越しを頑張ってほしい」。長いプロ野球で、巨人1位&阪神2位は何度もあるが、阪神1位&2位巨人は実は1度もない。阪神は巨人がかなり順位を落とした時だけ優勝し、競れば負けてきた。今季こそ、強い阪神が強い巨人に勝つシーズンにして、負のTG史に終止符を打ちたい。
前半戦は84試合で貯金15。負けた2位巨人との2差は変わらなかったが、3位ヤクルトに2・5差まで迫られた。「開幕から何カ月も、タイガースらしい野球をやってきてくれた。ブレークを挟んでもう1回、そういう形に戻れるように頑張っていきます」。1カ月間を有効に使って、もう一度臨戦態勢を整える。16年ぶりリーグ優勝へ力強く再進撃を誓った。【桝井聡】
▼阪神矢野監督が続投すれば来季は4年目となる。阪神の監督は中村勝広監督(90~95年途中)が最長の6年連続で務めたことはあるが、3年で交代するケースが多く、4年目は和田豊監督(12~15年)以来。吉田義男監督は計3度で通算8年、藤本定義監督は途中就任2度を含め、61~68年まで8シーズンで指揮を執っている。
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