◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇13日 中日1xー0阪神(延長10回サヨナラ、バンテリンドームナゴヤ)
たかが1点。されど、それはベンチ力の差ではないか。延長10回。阪神は6番手の加治屋にイニングをまたがせた。9回はビシエド、阿部、木下が3者連続三振に打ち取られた。計7度の空振り。とりわけスライダー回転し、外に逃げていくフォークは1人もバットに当てられなかった。
10回も石川昂が遊ゴロ。ここから京田が左中間を破り、代打・根尾が四球でつなぎ、大島が決めた。ファンならすぐにお気づきだと思う。右打者は太刀打ちできず、左打者は全員が対応した。
加治屋のキャリアで最も輝いていたのは72試合に登板し、35ホールドポイントを挙げた2018年と、30試合に投げた19年(いずれもソフトバンク所属)を調べた。右打者には2割5分1厘の被打率が、左には3割1分6厘にはね上がる。加治屋は今季初登板。それどころかチームの非常事態を受け、鳴尾浜から急きょ駆けつけ、試合前の練習にも間に合わなかった。正直、先発でもない加治屋の詳細な資料があったとは思えないが、立浪監督は見抜いていた。
「あそこのスライダー(フォーク)を振るくらいだから、曲がりが相当鋭かったはず。左の方がチャンスがあると思ったし、根尾も打席が少ない中でもフリー打撃が良かった。よく大島につないでくれた。いい働きをしてくれました」
1死二塁。右の平田や鵜飼が残っていたが、立浪監督は根尾を指名した。「真っすぐかスライダー(フォーク)。どっちかに絞って狙え」。迷いを取り払うための指示である。加治屋は右打者とは別人のようにフォークの精度が悪く、根尾は見極めた。一塁が埋まりキャプテン大島。ここで勝負はついていたのだ。
緊急昇格と初登板。阪神の投手事情が苦しいのは、開始前から分かっていた。打者1人で終えた岩貞、アルカンタラ、湯浅…。アウトを稼げた投手は他にもいた。もっともまたがせてはいけない投手にまたがせた阪神と、急所を瞬時に見抜いた中日。代打・根尾の人選が分岐点だった。
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