【ランチョミラージュ(米カリフォルニア州)3月31日=高田文太】渋野日向子(23=サントリー)が、有言実行の好発進を飾った。

1イーグル、2バーディー、1ボギーの69で回り、3アンダーの10位。6アンダーのミンジ・リー(オーストラリア)ら首位と3打差につけた。前日3月30日に「新しい自分」で、今季のメジャー初戦に臨むことを宣言。言葉通り、メジャー2勝目を予感させる、成長したプレーを披露した。

   ◇   ◇   ◇

全てが凝縮されたイーグルだった。1アンダーで迎えた後半の2番パー5。渋野は昨年よりも伸びた飛距離で2オンに成功した。10メートルのイーグルパットは「ひらめいたというよりも勘」と、経験に裏付けられた繊細な感覚で沈めた。勢いに乗って10位発進。「すごくいいゴルフができた。最後まで攻められた。ティーショットも去年より飛んだ。去年とは変わったなと思う」。20年51位、昨年予選落ち(72位)の今大会。苦い経験が成長に導いた。

開幕前日に「新しい自分になって、いいところで戦えるように頑張りたい」と誓った。この言葉には「昨日から、けっこう振れていました(笑い)」と、実は根拠があったとホールアウト後に明かした。意識的に振ることを心掛けた前日は、その前の2日間の練習と比べ「(飛距離が)30ヤードぐらい違った」。昨季から大幅改造したスイングは、定着するまで思い切り振るのを控えていた。思い切り振っても乱れないことを前日に確信し“リミッター”を解除して、この日のイーグルにつなげていた。

「振れるということは、スイングも良くなってきていると思う。本当に変わったと思いたい」。飛距離だけでなく、昨季から磨いてきた100ヤード以内のウエッジショットも生きた。全てが好転した1日だった。

この日は出だしから8連続パーと我慢を重ねた。「前半は平常心。耐えて、3パットをしないゴルフをできる回数が増えてきた」と心も成長。9ホール目で奪った最初のバーディーも、残り90ヤードからウエッジで1メートルにピタリとつけて奪った。有言実行。心技体、全てで「新しい自分」を見せた。日本人初のメジャー2勝目の足音が、聞こえ始めた。