中10日を空けて、ロッテ佐々木朗が西武戦に先発した。交流戦での2試合は、3日の巨人戦が5回5失点の6奪三振。11日のDeNA戦が8回1失点の5奪三振。DeNA戦での結果はよかったが、悪いなりのピッチングという内容で、ひと息入れてどうなるか、注目していた。

結果は7回無失点の9奪三振で6勝目。残した数字は素晴らしいが、内容そのものはそれほどよくもなく、悪くもないという感じに映ってしまった。

真っすぐの制球力はまずまず。よかったのはフォークが低めに決まっていたところ。9個の三振のうち、フォークで5個を奪った。

しかし今試合は西武打線の淡泊さに助けられた面もあった。

佐々木朗といえば、真っすぐを待って変化球にどれだけ対応できるかが勝負のポイント。もちろん、160キロ台の直球をコーナーに投げ分けてくるのだから、変化球を見極めるのは難しい。しかし西武の打者はボールゾーンに落ちるフォークを空振りしすぎだった。

フォークを見逃されると、佐々木朗はストライクゾーンにフォークを投げる技術がある。しかしその技術を使うまでもなく西武打線は凡打を繰り返した。100球で降板するのだから、もう少し食らい付いていけば結果は違ったはず。

もう1点、個人的に残念に感じたのは、6回2死二塁で山川を申告敬遠したところ。リードは1点で、戦略上は納得できる。

しかし佐々木朗は“超”の付くスーパー投手になれる素材。申告敬遠はベンチからの指示だったと聞いたが、ピッチャーは打者に向かっていく気持ちが大切。山川がパ・リーグNO・1打者なら、パ・リーグNO・1投手の看板をかけて勝負させてほしい投手。「お前なら誰が相手でもどんな状況でも敬遠する必要はないだろ」という信頼をベンチは託してほしかった。

はっきり断言できるが、潜在能力と将来の期待が大きいが上での願望になる。細かい技術でいえば、クイックモーションもそれほど上達していなかった。佐々木朗からは、どうやっても点が取れない。そう思わせるような、今まで見たこともない投手を見てみたいと思っている。(日刊スポーツ評論家)