UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループH第5節、マンチェスター・ユナイテッド対パリ・サンジェルマン(PSG)が現地時間2日に行われ、1-3でPSGが勝利した。グループHは最終節を残して3チームが勝ち点で並んだが、決勝トーナメント進出の行方を大きく左右しかねない出来事が試合終盤に起きた。(文:加藤健一)
2020年12月03日(Thu)10時23分配信
ラッシュフォードの連続弾
この試合が始まる前にグループHのもう1つの試合が終わり、ライプツィヒが4-3で競り勝った。暫定でライプツィヒとマンチェスター・ユナイテッドが勝ち点9で並び、パリ・サンジェルマンは同6で追う展開に。つまり、PSGは勝ち点3が欲しい試合だったが、ユナイテッドは最悪引き分けでも構わない。星勘定としてはそういう試合だった。
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早い時間にスコアが動くと、準備していたプランは早々に崩れる。先制するまではボールを持つPSG、構えてカウンターを狙うユナイテッドという構図だった。しかし、6分にネイマールのゴールで先制したPSGは、ブロックを敷いて守る時間を増やしていった。
この日のPSGは可変システムだったが、ルールとしてはシンプル。ボールを持ったら3-4-3、ボールを奪われても3-4-3(5-4-1)だが、自陣に引いたときは4-3-3。ダニーロ・ペレイラが3バックの中央からアンカーへポジションを変えた。
マーカス・ラッシュフォードをミドルレンジでフリーにしてはいけないのは前回対戦で学んだはずだった。32分に生まれたラッシュフォードの同点弾は、前回対戦で決めたゴールとほぼ同じ位置だった。前回はダニーロが振り切られたが、今度はアブドゥ・ディアロが寄せきれず、シュートはダニーロの足に当たってゴールネットに吸い込まれた。
マンUは後半に2失点
ユナイテッドはカウンターが効果的だったが、アントニー・マルシャルがことごとく決定機を外している。古巣対戦となったエディソン・カバーニもループシュートがクロスバーに弾かれ、追加点を奪うことができなかった。
69分にセットプレーの流れからマルキーニョスが押し込んでPSGが勝ち越し。勝負はその直後に決まった。ユナイテッドボールで試合が再開されたが、フレッジのトラップが大きくなったところをアンデル・エレーラが狙う。先にボールに触ったのはフレッジだったが、エレーラの足にタックルする形になり、この日2枚目のイエローカードをもらってしまう。数的不利になったユナイテッドが攻め手を失ったのは想像に難くない。
ユナイテッドは89分にカウンターを浴びたが、キリアン・ムバッペのシュートはわずかに外れた。そこでプレーが止まると、ユナイテッドはアーロン・ワン=ビサカを下げてオディオン・イガロを投入。前線の枚数をかけて攻勢に出ている。
結果的にはこれが失敗で、後半アディショナルタイムにカウンターを食らって1-3にされた。ネイマールが自陣からドリブルで運んで左に展開。ムバッペからラフィーニャを経由してネイマールが決めた。ワン=ビサカを残していれば中央が手薄になることもなかっただけに、采配が裏目に出てしまった。
スールシャールが犯した致命的なミス
ストライカーは10回外しても、1回決めれば称えられる仕事である。この日のマルシャルは当たっていなかったが、早く下げるべきだったというのは結果論だし、マルシャルがゴールを決めていればというのも「たられば」にすぎない。ただ、90分の交代策だけは明らかに間違いであり、情報不足が引き起こした致命的なミスと言われても仕方がない。
グループHはPSG、ユナイテッド、ライプツィヒが勝ち点9で並んだ。勝ち点で並んだ場合は当該チーム同士の勝ち点、得失点差、得点数、アウェイゴール数の順で優劣を比べて順位が決まる。つまり、試合が1-2のまま終わっていれば、この両者の対決はともにアウェイチームが1-2で勝利したことになり、両チームの対戦成績はすべて並ぶ。
両チームの対戦成績が並んだ場合は6試合を通じての得失点差、得点数、アウェイゴール数の順で優劣がつけられる。1-2で試合を終えていればユナイテッドの得失点差が7で、PSGは2。ともに最終節で敗れた場合でも、得失点差をひっくり返されなければユナイテッドは2位となる。ユナイテッドは敗れても決勝トーナメント進出の可能性があった。
以上のことを踏まえると、この試合ではアウェイゴールを奪ったユナイテッドは1点差であれば負けてもよかったということになる。さらにフレッジの退場によって1人欠けたのであればなおさら。にもかかわらずユナイテッドは後半アディショナルタイムに1点を取りにいく交代カードを切って返り討ちにあった。
1-3で敗れたことでPSGとの直接対決で下回り、最終節で敗れると3位が確定する。試合後にスールシャールは「運命は我々の手の中にある。ライプツィヒに行って勝てば突破できる」と話した。自身のミスに気付いているか定かではないが、1つの交代策がユナイテッドの命運を左右することになるかもしれない。
(文:加藤健一)
【了】
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